JCM資金支援制度の最新動向と採択のコツ|環境省・NEDOの公募情報まとめ

近年、グローバルな気候変動対策として注目を集めているJCM、つまり二国間クレジット制度ですが、この制度を活用して海外での脱炭素プロジェクトを実施したい企業にとって、資金支援の獲得は重要な課題となっています。本記事では、JCM資金支援制度の最新動向から採択のコツまで、実務に役立つ情報を網羅的に整理してお届けします。

JCM資金支援制度とは?目的と仕組みを整理

JCM資金支援制度は、二国間クレジット制度を通じて途上国における脱炭素技術の普及を促進するための公的支援の枠組みです。この制度の正式名称は二国間クレジット制度資金支援事業といい、環境省を中心とした関係省庁が実施主体となっています。JCMそのものは、日本とパートナー国の間で優れた脱炭素技術や製品、システム、サービス、インフラ等を普及させ、実現した温室効果ガス排出削減や吸収への日本の貢献を定量的に評価し、日本のNDC達成に活用する制度として位置づけられています。2013年にモンゴルとの間で初めて署名されて以来、2025年8月時点で31か国とJCMが構築されており、これまでに260件以上のプロジェクトが実施されてきました。地球温暖化対策計画では、官民連携で2030年度までの累積で1億トン程度、2040年度までの累積で2億トン程度の国際的な排出削減や吸収量の確保を目標としており、この野心的な目標を達成するための重要な手段がJCM資金支援制度です。

環境省・NEDOなど主要支援機関の役割と特徴

JCM資金支援の実施において、環境省とNEDOはそれぞれ異なる役割を担い、補完的な支援体系を構築しています。環境省は設備補助事業を中心に展開し、パートナー国における脱炭素設備の導入事業に対して初期投資費用の2分の1を上限として補助金を交付する仕組みを運用しています。この事業は公益財団法人地球環境センターを通じて実施されており、2013年度から2025年度までに265件以上のプロジェクトを採択してきた実績があります。環境省の支援は比較的実用化が進んだ脱炭素技術の普及に重点を置いており、太陽光発電や高効率冷凍機、省エネ型空調システムなど即座に導入可能な技術が対象となります。一方NEDOは先進的な低炭素技術の実証を目的とした支援を行い、海外実証を通じて技術の有効性を検証し、国内外での普及につなげることを重視しています。NEDOの支援体系は実証前調査、実証事業、定量化フォローアップ事業の3つのフェーズで構成されており、実証前調査では1件あたり税抜1500万円を上限とした委託費用が提供され、実証事業では原則として日本政府が100パーセントの費用を負担します。また経済産業省はJCM実現可能性調査を通じて、プロジェクトの企画段階における事業環境の検討や排出削減量の定量化手法の開発を支援しています。支援機関によって対象とするプロジェクトの成熟度や技術分野が異なるため、事業者は自社のプロジェクトがどの段階にあり、どのような技術特性を持つかを正確に見極めた上で、最適な支援制度を選択することが求められます。

最新のJCM公募情報と募集スケジュール

2025年度のJCM設備補助事業は4月7日に公募が開始され、年間を通じて複数回の採択審査が実施されています。環境省の設備補助事業では通年公募方式を採用しており、事業者は準備が整い次第申請を行うことができる仕組みとなっています。2025年度の設備補助事業では従来の補助金方式に加えて、JCMエコリース事業という新たなスキームも導入されており、リース形式での設備導入も支援対象となっています。令和7年度にはシナジー型JCM創出事業の公募も4月21日に開始されており、第二回および第三回の採択案件が順次決定されるなど活発な公募活動が展開されています。経済産業省によるJCM実現可能性調査については、令和7年度の募集が実施されており、最大15件程度の採択を想定し、1件あたりの予算上限は税抜1500万円となっています。NEDOの実証事業についても定期的に公募が行われており、実証前調査の応募から採択決定までのプロセスが明確化されています。公募スケジュールは各機関のウェブサイトで随時更新されるため、事業者は地球環境センターのJCM公式サイトやNEDOの公募情報ページを定期的にチェックし、最新の募集状況を把握することが重要です。

採択されるプロジェクトの共通点と評価基準

JCM資金支援事業で採択されるプロジェクトには明確な共通特性が存在します。まず温室効果ガス削減効果の規模が重視されており、NEDOの実証事業では実証期間のモニタリングで1000トン以上のJCMクレジットが発行可能であり、かつ実証終了後の普及展開期間で年間1万トン以上の排出削減効果が見込まれることが求められています。環境省の設備補助事業においても、プロジェクトによる排出削減量の定量化が可能であることが前提条件となっており、MRV手続きを適切に実施できる計画が求められます。次に技術の優位性と普及可能性が評価の重要な軸となります。単に日本の技術を導入するだけでなく、パートナー国の市場環境や気候条件に適合し、現地での持続的な運用が可能であることを示す必要があります。さらに事業実施体制の確実性も審査において重視されます。日本企業とパートナー国の現地企業が適切な役割分担のもとでコンソーシアムを組み、技術移転や運用ノウハウの共有が計画されているプロジェクトが高く評価される傾向にあります。また持続可能な開発目標への貢献も評価基準の一つとなっており、温室効果ガス削減だけでなく、雇用創出やエネルギーアクセスの改善、地域経済の活性化といった副次的効果を明示できるプロジェクトが選ばれやすい状況です。事業計画の実現可能性と費用対効果も重要な判断材料であり、投資回収の見通しや補助金終了後の自立的な事業継続の可能性が問われます。

採択率を高めるための申請戦略と注意点

JCM資金支援事業の採択率を高めるためには、戦略的な準備と申請書類の質が決定的に重要です。まず事前準備として、パートナー国の政策動向やエネルギー事情を十分に調査し、現地のニーズと日本の技術がどのように合致するかを明確に示す必要があります。特にパートナー国政府の気候変動対策における優先分野や国家開発計画との整合性を説明できると、採択の可能性が大きく高まります。申請書類の作成においては、温室効果ガス削減量の算定根拠を具体的かつ保守的に示すことが求められます。過大な削減効果を主張するのではなく、信頼性の高いデータと計算方法に基づいた現実的な数値を提示することが審査では評価されます。また事業実施体制については、日本側と現地側の役割分担を明確にし、現地パートナーの技術力や財務状況、プロジェクト遂行能力を具体的に記載することが重要です。可能であれば現地政府からの支援レターや現地企業との覚書などを添付すると、プロジェクトの実現可能性が高いことを示す有力な証拠となります。MRV計画についても詳細に記述し、測定機器の選定理由や測定頻度、データ管理体制、第三者検証機関の選定方針などを具体的に説明することで、事業の透明性と信頼性をアピールできます。注意点としては、申請締切直前の駆け込み提出は避け、十分な時間的余裕を持って書類を準備することが挙げられます。

まとめ

本記事で紹介した公募情報や採択のコツを参考に、戦略的な申請準備を進めていただければ幸いです。地球環境保全への貢献と自社のビジネス展開を両立させる絶好の機会として、JCM資金支援制度を積極的に活用されることを期待しています。